広い空、まっすぐな道、どこまでも続く牧草地。北海道は、キャンプツーリングやアウトドアが好きな人なら一度は行ってみたい場所です。
このページは、バイクや車でフェリーに乗って北海道へ渡り、キャンプしながら旅をしたい人のための特集です。
いつ行けばいいか(月別の気温)、どの航路で渡るか、何日みておくか、現地のキャンプ場事情、本州との違い、ヒグマへの備えまで、計画に必要なことを公式の情報をもとにまとめました。
北海道旅の3ステップ:①出発地に合うフェリーで渡る ②エリアを決めて走る・泊まる(キャンプ場は10月末で閉まる所が多い) ③夏でも冷える寒さ、エゾシカ、霧、ヒグマに備える
いつ行く?月別の気温とベストシーズン
北海道の夏は、本州と比べてかなり涼しいのが特徴です。気象庁の平年値(1991〜2020年)で、主な都市の最高・最低気温を並べてみました。
| 都市 | 7〜8月(最高/最低) | 9〜10月(最高/最低) |
|---|---|---|
| 札幌 | 25.4〜26.4℃/17.9〜19.1℃ | 16.4〜22.8℃/8.0〜14.8℃ |
| 旭川 | 26.2〜26.6℃/16.4〜16.9℃ | 14.9〜21.9℃/4.4〜11.7℃ |
| 釧路 | 19.6〜21.5℃/13.6〜15.7℃ | 15.1〜20.1℃/6.1〜12.9℃ |
| 函館 | 24.1〜25.9℃/17.3〜18.9℃ | 17.1〜23.2℃/7.8〜14.6℃ |
出典:気象庁「平年値(年・月ごとの値)」。日最高・日最低気温の月平均。実際の朝晩は、これより下がる日もあります。
表を見ると、キャンプやツーリングに向くのは7〜8月を中心とした夏です。札幌でも8月の最高気温の平年値は26℃台で、本州の真夏よりかなり過ごしやすくなっています。
一方で、道東の釧路は真夏でも最高気温が20℃前後。旭川は10月になると最低気温が平年で4℃台まで下がります。同じ北海道でも、エリアと月で必要な装備はまったく違うと考えておきましょう。
月ごとの服装の目安
| 時期 | 気温のイメージ | 服装の目安 |
|---|---|---|
| 6月 | 日中は20℃前後、朝晩は10℃前後 | 長袖+フリースなどの防寒着 |
| 7〜8月 | 日中は25℃前後(道東は20℃前後) | 半袖でも走れる日が多いが、朝晩と道東用に防寒着は必須 |
| 9月 | 日中は20℃前後、朝晩は10℃台前半 | 長袖と防寒着。山や道北・道東はさらに冷える |
| 10月 | 日中は15℃前後、朝晩は5℃前後の所も | 冬に近い装備。寝袋も寒さに強いものを |
バイクは走っているあいだ風を受けるので、体感はさらに寒くなります。寝袋は「快適温度」を見て、夜の最低気温より余裕のあるものを選びましょう(寝袋の快適温度と限界温度の違い)。秋の服装は秋キャンプの服装も参考になります。
紅葉は山から始まり、平地は遅れて色づきます。時期は紅葉の見頃カレンダーで確認してください。
フェリーで渡る|出発地別の航路比較
本州から北海道へは、バイクや車ごと乗れるフェリーがいくつもあります。出発地と、北海道で最初に走りたいエリアから選ぶのが基本です。
| 航路(会社) | 所要時間・便数 | こんな人に |
|---|---|---|
| 大洗〜苫小牧(商船三井さんふらわあ) | 夕方便 約17時間45分、深夜便 18時間 | 関東から。夕方便は翌日の昼過ぎに着く |
| 仙台〜苫小牧(太平洋フェリー) | 毎日運航、仙台19:40発→翌11:00着 | 東北・北関東から |
| 名古屋〜苫小牧(太平洋フェリー) | 隔日運航、仙台経由で約40時間 | 中部から。船旅そのものを楽しみたい人 |
| 八戸〜苫小牧(シルバーフェリー) | 1日4便、約7〜8時間 | 東北道で八戸まで走り、短い船旅で渡りたい人 |
| 新潟〜小樽(新日本海フェリー) | 約16時間(新潟12:00発→翌4:30着) | 上信越・関東から。早朝に着いて1日走れる |
| 舞鶴〜小樽(新日本海フェリー) | 約21時間 | 関西から |
| 敦賀〜苫小牧東(新日本海フェリー) | 直行は約20時間。新潟・秋田経由の便もある | 関西・北陸から |
| 青森〜函館(津軽海峡フェリー) | 1日6往復、片道約3時間40分 | 青森まで自走して、短く渡りたい人 |
出典:各社公式サイト(さんふらわあ、太平洋フェリー、シルバーフェリー、新日本海フェリー、津軽海峡フェリー)。2026年10月時点。
ダイヤは変わります:新日本海フェリーは2026年10月1日から、敦賀発で新潟・秋田を経由して苫小牧東へ向かう便のダイヤを変更しました(敦賀発は火・木・日、苫小牧東着は翌々日。公式のお知らせ)。時刻や運賃は季節でも変わるので、予約前に公式サイトで確認を。
選ぶときのポイントは、着いてからどこを走るかです。たとえばシルバーフェリーの公式案内では、苫小牧西港から札幌北ICまで約70km、旭川鷹栖ICまで約200km、釧路中央ICまで約280kmとされています。
道東が目的なら、着く港と時間帯で1日の動き方が大きく変わります。
夏休みやお盆は早く埋まるので、予約の受付開始日も確認しておきましょう(フェリーの予約はいつから?)。
何日必要?日数とルートの考え方
「北海道一周は何日?」とよく聞かれますが、走るペースや寄り道で大きく変わるので、決まった答えはありません。考え方のコツは次の3つです。
- フェリーの日数を先に入れる:大洗〜苫小牧のように片道17〜18時間かかる航路なら、行きと帰りで丸2日近くは船の上
- 行く港と帰る港を変える:たとえば行きは小樽着、帰りは苫小牧発にすると、同じ道を戻らずに済む
- エリアを絞る:道央・道東・道北・道南は、それぞれだけで何日も楽しめる。初めてなら1〜2エリアに絞るほうが満足しやすい
北海道は、地図で近く見えても実際の距離が長い場所です。1日の走行距離は控えめに見積もって、天気が崩れた日に休める予備日も入れておくと安心です。
北海道のキャンプ場事情
北海道には、自治体が管理する手ごろなキャンプ場や、無料のキャンプ場もあります。ただし、多くのキャンプ場には開設期間があります。
たとえば道東の津別町では、21世紀の森キャンプ場が5月1日〜10月31日、無料のチミケップ湖キャンプ場が5月下旬〜10月31日の開設で、どちらも直火は禁止です(津別町公式)。秋に行くなら、目当てのキャンプ場がまだ開いているか確認しておきましょう。
また、ヒグマが出没するとキャンプ場が急に閉鎖されることがあります。津別町では2025年6月、ヒグマの出没を受けて21世紀の森キャンプ場を一時閉鎖しました(津別町のお知らせ)。出発前と当日に、キャンプ場や町の最新情報を見る習慣をつけておくと安心です。
本州との違い|走るときに気をつけたいこと
エゾシカとの衝突
北海道開発局によると、道内ではエゾシカが関係する交通事故が年間2,000件近く起きていて(2016年は1,936件)、とくに春の4〜5月と秋の10〜11月に多くなっています。
早朝や夕方の飛び出しが多く、1頭見たら近くにもう1頭いると思って走るよう呼びかけています(北海道開発局のチラシ)。
道東の霧
釧路は霧の多い街で、気象庁によると霧の日数は年間96.9日、6〜8月はひと月に約16日もあります(気象庁)。霧の日は視界が悪くなるうえ、霧雨で体が濡れて冷えます。ライトを早めにつけ、レインウェアはすぐ取り出せる所に入れておきましょう。
距離と補給
町と町のあいだが長い区間では、ガソリンスタンドやお店が少ないこともあります。給油や食料の補給は、早め早めを心がけましょう。夜に走る予定は、なるべく入れないのが安全です。
ヒグマ対策|キャンプで守ること
北海道のクマは、本州のツキノワグマより大きなヒグマです。北海道庁は毎年、人が山に入る機会が増える秋を「秋のヒグマ注意特別期間」としていて、2026年は9月1日〜10月31日です(北海道庁)。夏だから安心、というわけではありません。
北海道庁がヒグマを引き寄せないためにあげている基本のルールは次のとおりです(北海道庁「ヒグマ注意報」)。
- 生ゴミや食べ物、ペットフード、干物などにおいのあるものを外に放置しない
- 食べ物や容器をポイ捨てしない
- ヒグマの痕跡(足跡やふん)がある場所ではキャンプしない
- 見かけたら、走って逃げず、ゆっくり後ずさりして静かに離れる。石を投げたり大声を出したりしない
- 見かけたら警察に通報する
出没情報は、市町村のホームページのほか、北海道庁のヒグマ対策のページでも確認できます。北海道庁は、注意報などをXやYahoo!防災速報、LINEでも発信しています。山を歩くときの基本は登山のクマ対策も参考にしてください。
持ち物と準備
北海道のキャンプツーリングで、とくに忘れたくないものです。
- 防寒着:夏でもフリースや薄手のダウン。秋は冬に近い装備
- レインウェア:上下セパレートの防水透湿タイプ。霧雨対策にも(レインウェアの選び方)
- 寒さに強い寝袋とマット:夜の最低気温に合わせて
- 虫よけ:夏の森や湖のそばは虫が多い(虫の対策)
- モバイルバッテリー・充電手段:地図アプリと連絡手段を切らさない
- 救急セット:お店が遠い場所もあるので(救急キットの中身)
車で行くなら、荷物の積み方も工夫すると現地での出し入れが楽になります(キャンプ道具の車への積み方)。
北海道で乗馬(外乗)
広い牧草地や林の中を、馬に乗ってゆっくり歩くホーストレッキング(外乗)も、北海道ならではの体験です。初心者でも参加できるスポットをエリア別にまとめています。
よくある質問(Q&A)
北海道キャンプツーリングのベストシーズンは?
7〜8月が中心です。気象庁の平年値で札幌の8月の最高気温は26℃台と過ごしやすい季節です。6月や9月も走れますが、朝晩はかなり冷えるので防寒着をしっかり持っていきましょう。
夏でも本当に寒いの?
寒い日があります。釧路は7〜8月でも最高気温の平年値が20℃前後、最低気温は15℃前後です。バイクは走行風でさらに冷えるので、夏でも防寒着とレインウェアは必ず持っていきましょう。
フェリーはどこから乗るのがいい?
出発地に近い港から乗るのが基本です。関東なら大洗〜苫小牧、東北なら八戸〜苫小牧や仙台〜苫小牧、上信越なら新潟〜小樽、関西なら舞鶴〜小樽や敦賀〜苫小牧東が候補になります。北海道で最初に走りたいエリアと、到着時刻もあわせて考えましょう。
ヒグマは大丈夫ですか?
北海道の多くの地域はヒグマがすむ場所です。においのあるものを外に置かない、痕跡のある場所でキャンプしないなど、北海道庁の基本ルールを守りましょう。9〜10月は「秋のヒグマ注意特別期間」で、とくに注意が必要です。
まとめ
北海道のキャンプツーリングは、7〜8月を中心とした夏がいちばん走りやすい季節です。出発地に合うフェリーを選び、行きと帰りの港を変えるとルートを組みやすくなります。
夏でも冷える朝晩と道東の霧、エゾシカ、ヒグマへの備えを忘れずに。キャンプ場の開設期間と最新情報を確認して、北海道の広い景色を楽しんでください。
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