「夜、フェリーに乗っていたいなあ」。ふと、そんな気分になることがあります。行き先が決まっているわけでもなく、ただ暗い海の上で、潮風に吹かれてぼんやりしたい。
夜行フェリーは、そんな願いをかなえてくれる乗り物です。夜に港を出て、デッキで夜景や星を眺め、風呂に入って雑魚寝して、朝、遠くの港で目を覚ます。移動というより、船に乗ること自体が旅になります。
この記事では、全国の夜行フェリーを地域別にまとめました。北海道へ渡る定番から、関西と九州を結ぶ便、南の島へ向かう長い航路まで。「今度、夜の船に乗ってみたい」と思ったときの地図として使ってください。
夜行フェリーの何がそんなにいいのか

新幹線や飛行機が「早く着くこと」を競うなら、夜行フェリーの価値はその逆にあります。ゆっくり進む時間そのものが、いちばんのごちそうです。
夜行フェリーの楽しみ
・デッキで浴びる夜景・星空・朝日
・大浴場やレストラン、船によっては露天風呂まで
・雑魚寝の2等から個室まで、予算に合わせて選べる
・寝ている間に遠くへ運ばれ、宿1泊分も浮く
とくにデッキで過ごす夜の時間は格別です。街の明かりが遠ざかり、あたりが本当の暗闇になると、降るような星が見えてきます。売店で買った缶ビール片手に、ただ海を眺める。それだけで満たされます。
全国の夜行フェリー航路【エリア別まとめ】
夜行フェリーは全国にありますが、とくに本州から北海道へ渡る航路が充実しています。エリアごとに、主な航路と所要時間の目安を紹介します。
北海道へ渡る|夜行フェリーの本場
本州と北海道を結ぶ航路は、夜行フェリーの宝庫です。夜に本州を出て、翌日に北海道へ。車やバイクを載せて、そのまま北の大地をツーリングする人にも人気のルートです。
| 航路 | 運航会社 | 所要の目安 |
|---|---|---|
| 大洗(茨城)⇔苫小牧 | 商船三井さんふらわあ | 約18時間 |
| 仙台⇔苫小牧 | 太平洋フェリー | 約15時間 |
| 名古屋⇔仙台⇔苫小牧 | 太平洋フェリー | 約40時間 |
| 八戸⇔苫小牧 | シルバーフェリー | 約8時間(安い) |
| 新潟⇔小樽 | 新日本海フェリー | 約16時間 |
| 敦賀・舞鶴⇔苫小牧・小樽 | 新日本海フェリー | 約20〜21時間 |
関東からいちばん行きやすいのが、茨城・大洗発のさんふらわあ。夕方に出て翌昼に北海道へ着きます。安さなら八戸発が、豪華さなら受賞歴のある太平洋フェリーが人気です。
2026年秋、国内最長の夜行航路が誕生予定
新日本海フェリーが、敦賀〜苫小牧の便を夜行化する予定です。停泊を含めた総所要は46時間ほどとされ、「とにかく長く船に乗っていたい」人には夢のような航路になりそうです。
関東から乗れる夜行フェリー
関東発の夜行フェリーは、北海道行きの大洗便のほかにもあります。九州や四国、東京の離島まで、意外と選択肢は豊富です。
| 航路 | 運航会社 | 所要の目安 |
|---|---|---|
| 大洗(茨城)⇔苫小牧 | さんふらわあ | 約18時間 |
| 横須賀(神奈川)⇔新門司(北九州) | 東京九州フェリー | 約21時間 |
| 東京⇔徳島⇔北九州 | オーシャン東九フェリー | 長距離・夜発便あり |
| 竹芝(東京)⇔伊豆諸島 | 東海汽船 | 夜発→翌朝着 |
| 竹芝(東京)⇔小笠原・父島 | 小笠原海運 | 約24時間 |
横須賀から九州へ一気に渡る東京九州フェリーは、2021年就航の比較的新しい船。伊豆諸島へ渡る東海汽船の夜行便は、寝ている間に東京の離島へ着ける手軽さが魅力です。伊豆諸島の船旅は別記事で詳しく紹介しています。
関東の各港への行き方や船内の雰囲気は、関東発の夜行フェリーだけをまとめた記事で詳しく紹介しています。
関西〜九州を結ぶ|夜行フェリーの激戦区
関西と九州の間は、夜行フェリーがもっとも活発なエリアです。夕方に出て翌朝着くちょうどいい距離で、ビジネスにも旅行にも使われています。
| 航路 | 運航会社 | 所要の目安 |
|---|---|---|
| 神戸・泉大津⇔新門司 | 阪九フェリー | 約12時間30分 |
| 大阪⇔新門司 | 名門大洋フェリー | 約12〜13時間 |
| 大阪⇔別府 | さんふらわあ | 約12時間 |
| 大阪⇔志布志(鹿児島) | さんふらわあ | 約15時間 |
| 神戸⇔大分 | さんふらわあ | 約12時間 |
| 神戸⇔宮崎 | 宮崎カーフェリー | 約13時間 |
どの便もおおむね夕方から夜に出港し、翌朝に到着します。大浴場やレストランを備えた船が多く、短い航海でもしっかり船旅気分が味わえます。
南の島へ|いちばん旅情のある長い夜
鹿児島から奄美を経て沖縄へ向かう航路は、夜行フェリーのなかでもとくに旅情があります。鹿児島を夕方に出て、翌朝に奄美大島へ。そこから先も、島々に寄りながら南下していきます。
マルエーフェリーとマリックスラインが交互に運航し、途中で徳之島や沖永良部島、与論島に寄港します。鹿児島から那覇までは通しで25時間ほど。島に立ち寄りながら南の海を進む時間は、ほかでは味わえません。
気分・目的別のおすすめ
「どれに乗ればいいか迷う」という人のために、気分別のおすすめをまとめました。
- とにかく長く乗っていたい:名古屋〜苫小牧(約40時間)。2026年秋には敦賀〜苫小牧の国内最長航路も
- 安く乗りたい:八戸〜苫小牧が2等でリーズナブル
- 豪華な船旅を味わいたい:受賞歴のある太平洋フェリー
- 関東から手軽に:大洗発のさんふらわあで北海道へ
- 離島でのんびり:竹芝発の伊豆諸島便、鹿児島発の奄美・沖縄便
夜行フェリーの過ごし方と持ち物
はじめての夜行フェリーでも、少し準備しておくとぐっと快適になります。とくに雑魚寝の2等を選ぶなら、寝床まわりの工夫が効いてきます。
- 予約は早めに。とくに連休や車・バイク積載は埋まりやすい
- 2等の雑魚寝はマットやネックピローを持ち込むと快適
- 大浴場・レストラン・売店がある船が多い。小銭も用意
- デッキは風が強く冷える。羽織るものを一枚
- 揺れが心配なら酔い止めを乗船前に
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よくある質問
日本で一番長く乗れる夜行フェリーは?
現状では名古屋〜苫小牧(太平洋フェリー・約40時間)が長距離の代表です。さらに2026年秋には、新日本海フェリーの敦賀〜苫小牧が夜行化され、総所要46時間ほどの国内最長航路になる予定です。
一番安く乗れる夜行フェリーは?
航路や時期によりますが、八戸〜苫小牧(シルバーフェリー)などは2等がリーズナブルで、北海道へ渡る短めの夜行として人気です。どの航路も、2等の雑魚寝を選ぶといちばん安く乗れます。
車やバイクは載せられますか?
ほとんどの長距離フェリーで載せられます。車やバイクを積んで、そのまま現地をツーリングできるのが夜行フェリーの大きな魅力です。ただし積載は予約が埋まりやすいので、早めの手配がおすすめです。
個室と雑魚寝、どちらがいい?
安さと旅情を味わうなら2等の雑魚寝、しっかり眠りたいなら個室がおすすめです。はじめてなら、二段ベッドタイプの寝台(特2等など)が、安さとプライバシーのバランスがよく選ばれています。
船酔いが心配です。
大型のフェリーは揺れが少なめですが、外海では多少揺れます。酔いやすい人は乗船前に酔い止めを飲み、船体の中央・下の階を選ぶと安心です。早めに横になるのも効果的です。
まとめ
夜行フェリーは、目的地に着くための移動ではなく、夜の海を渡る時間そのものを楽しむ乗り物です。デッキの潮風、暗い海に浮かぶ灯り、朝日に照らされる港。どれも、船でしか出会えない景色です。
「夜、フェリーに乗っていたいなあ」と思ったら、まずは近くの港から出る一便を調べてみてください。時刻や運賃は季節で変わるので、予約前に各社の公式サイトで最新の情報を確認しましょう。
各フェリー会社の公式サイト
時刻・運賃・運航状況は季節やダイヤ改正で変わります。予約の前に、各社の公式サイトで最新情報を確認してください。
- 東海汽船(伊豆諸島)
- 商船三井さんふらわあ(大洗〜苫小牧・関西〜九州)
- 太平洋フェリー(名古屋・仙台〜苫小牧)
- 新日本海フェリー(日本海側〜北海道)
- 東京九州フェリー(横須賀〜新門司)
- オーシャン東九フェリー(東京〜徳島〜北九州)
- 阪九フェリー(神戸・泉大津〜新門司)
- 名門大洋フェリー(大阪〜新門司)
- 宮崎カーフェリー(神戸〜宮崎)
- シルバーフェリー(八戸〜苫小牧)
- 小笠原海運(東京〜小笠原)
- マルエーフェリー / マリックスライン(鹿児島〜奄美〜沖縄)





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