東京の竹芝を夜に出た船が、朝、目を覚ますと海の上。デッキに出ると、朝焼けのなかに島の影が浮かんでいる——関東から意外なほど気軽に、そんな島旅ができます。
伊豆大島や式根島に代表される東京の離島「伊豆諸島」は、実は東京都。しかも夜行のフェリーを使えば、寝ている間に着いてしまいます。移動時間そのものが旅の思い出になる、贅沢な行き方です。
この記事では、夜行フェリーの乗り方と船中泊の楽しみ方、関東から行けるそれぞれの島の魅力、そして日帰りでも行ける近場の島までまとめました。
関東の島旅は「夜行フェリー」が面白い

伊豆諸島へは、速い高速ジェット船(昼行)と、ゆっくりの大型客船(夜行)の2つの行き方があります。時間を優先するならジェット船ですが、旅情を味わうなら断然、夜行の大型客船です。
夜に出港して、寝ている間に海を渡り、朝に島へ着く。宿の1泊を船中で済ませられるので、朝いちばんから島をまるっと使えます。船が動く時間が「移動」ではなく「旅の一部」になるのが、夜行フェリーの醍醐味です。
夜行フェリーのいいところ
・寝ている間に移動でき、朝から島を丸一日楽しめる
・宿1泊分が船中泊で浮く(費用も時間も節約)
・デッキから見る夜景・星空・朝焼けが最高
・出発が夜なので、仕事終わりからでも旅立てる
東京湾の夜景を抜け、レインボーブリッジをくぐって外海へ。潮風のなかで飲むビールと、翌朝の島影は、飛行機ではぜったいに味わえない体験です。
夜行フェリー(大型客船)の乗り方と船内
伊豆諸島への船は、東京・竹芝客船ターミナルから出る東海汽船が中心です。夜行の大型客船は、行き先で2つの航路に分かれます。
| 船 | 主な行き先 | 出港の目安 |
|---|---|---|
| さるびあ丸 | 大島・利島・新島・式根島・神津島 | 竹芝を夜に出港(23時ごろ) |
| 橘丸 | 三宅島・御蔵島・八丈島 | 竹芝を夜に出港(22時半ごろ) |
どちらも竹芝を夜に出て、翌朝それぞれの島に着きます。大島までなら早朝5時ごろ、いちばん遠い島でも午前中には到着します。ダイヤは季節や曜日で変わるので、予約前に東海汽船の公式サイトで最新の時刻を確認してください。
客室のクラスと料金の目安
客室は、個室の特等から、二段ベッドの特2等、雑魚寝の2等和室、リクライニングの2等椅子席まで幅があります。はじめてなら、安さと旅情のバランスがいい2等和室か特2等がおすすめです。
料金の目安(2等・片道)
竹芝から新島・神津島あたりまで、5,000〜6,000円ほどが目安です。時期や割引で変わるので、正確な額は公式の運賃表で確認を。
※高速ジェット船(昼行)は大島まで9,000円台・約1時間45分
ひとつ知っておきたいのが、2等和室には敷き布団やマットが敷かれていないこと。床に直接なので、キャンプ用のマットやエアピローを持ち込むと、寝心地が段違いに良くなります。船中泊のちょっとしたコツです。
夜行フェリーの過ごし方
出港後しばらくはデッキがおすすめです。東京湾の夜景やレインボーブリッジ、外海に出れば街明かりのない星空が広がります。売店や自販機もあるので、夜景を見ながらの一杯も楽しめます。
揺れが心配な人は、早めに横になるのが正解です。外海は多少揺れるので、酔いやすい人は酔い止めを乗船前に飲んでおくと安心です。朝、島が近づくとアナウンスが入り、デッキから到着の景色を楽しめます。
関東(東京の離島)から行ける島ガイド
伊豆諸島は、島ごとに驚くほど個性が違います。火山の島、白い砂浜の島、温泉の島、星空の島。目的に合わせて選ぶのが、島旅を成功させるコツです。
| 島 | こんな島 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 伊豆大島 | 活火山・三原山と砂漠。最も手軽 | はじめての島旅・日帰りも |
| 新島 | 白い砂浜とサーフィン、コーガ石 | 海遊び・サーフィン好き |
| 式根島 | 海中温泉と透明な海。こぢんまり | 秘湯・のんびり派 |
| 神津島 | 星空と透明度日本一の海 | 星と絶景を見たい人 |
| 三宅島・御蔵島 | 野鳥とイルカと泳ぐ体験 | 自然・生き物好き |
| 八丈島 | 南国リゾートと温泉 | 南の島気分を味わいたい人 |
伊豆大島|活火山と砂漠、はじめての島旅に
伊豆諸島でいちばん大きく、いちばん行きやすい島です。高速ジェット船なら竹芝から1時間45分ほどで着くので、日帰りもできます。島のシンボルは、今も噴煙を上げる活火山・三原山。
山頂の展望台からは巨大な噴火口が見渡せ、「裏砂漠」と呼ばれる日本でも珍しい砂漠地帯は、まるで別の惑星のようです。海を目の前にした絶景の露天温泉や、椿の名所もあり、初めての伊豆諸島にぴったりです。
新島|白い砂浜とサーフィン、コーガ石の島
新島は、白い砂浜とサーフィンで知られる島です。世界でもこの島とイタリアの一部でしか採れないという「コーガ石」の白い町並みが、独特の景観をつくっています。
海水浴やサーフィンを楽しんだあとは、海を望む湯の浜露天温泉へ。水着で入れる無料の露天風呂で、夕日を見ながらのんびりできます。海遊び中心で過ごしたい人におすすめです。
式根島|海中からわく秘湯と、透明な入り江
式根島は、歩いて回れるほどこぢんまりした島ですが、温泉好きにはたまらない場所です。海岸の岩場からわく「地鉈温泉」は、潮の満ち引きで湯加減が変わる野趣あふれる秘湯。24時間無料で入れる露天もあります。
入り江の海は驚くほど透明で、シュノーケリングにも最適。派手さより静けさを求める人に向いた、通好みの島です。
神津島|星空と、透明度日本一の海
神津島は、環境省の星空観察で「日本一」に選ばれたこともある、星空の島です。島全体が夜空の暗さを守る取り組みをしていて、天の川がくっきり見えます。
中央にそびえる天上山はハイキングの名所で、山頂には白い砂と池が点在する不思議な景色が広がります。透明度の高い海と神話の残る神社もあり、絶景と神秘を味わいたい人におすすめです。
三宅島・御蔵島・八丈島|橘丸で行く、より南の島
橘丸の航路で行けるのが、さらに南の島々です。三宅島は野鳥の楽園として知られ、御蔵島は野生のイルカと一緒に泳ぐドルフィンスイムで有名。透明な海でイルカに出会う体験は、一生ものの思い出になります。
八丈島は、亜熱帯の植物が茂る南国リゾート。温泉が豊富で、羽田から飛行機でも約55分と、意外に近い南の島です。のんびり湯につかりたい人にぴったりです。
島の宿は早めに押さえるのが鉄則
伊豆諸島の宿は数がかぎられていて、夏休みや連休はすぐ埋まります。とくに海水浴シーズンは、船の予約と一緒に宿も早めに確保しておくのが安心です。
宿は「予約が取れる時期」に動くのが正解
島の民宿・ホテルは早い者勝ちです。日程が決まったら、船と宿はセットで早めに押さえておきましょう。
もっと気軽に。日帰りで行ける関東の島
「いきなり夜行フェリーはハードルが高い」という人には、関東から日帰りで行ける島もあります。まずはここで島旅の雰囲気を味わうのもいいと思います。
猿島(神奈川・横須賀)
東京湾に浮かぶ唯一の無人島です。横須賀の三笠桟橋からフェリーでたった10分。旧日本軍の要塞跡がそのまま残り、緑に覆われたレンガのトンネルは、まるで映画のセットのよう。散策やBBQが楽しめます。
初島(静岡・熱海沖)
熱海港から高速船で約30分の、小さなリゾートアイランドです。新幹線で熱海まで来れば、東京から日帰りでも十分。海を望む温泉や食堂街、アスレチックなどがそろい、手軽に南国気分を味わえます。
島旅を楽しむための準備と注意
島旅でいちばん気をつけたいのが、船は海が荒れると欠航することです。とくに冬や台風シーズンは、行き帰りとも欠航の可能性を頭に入れて、日程に余裕を持たせておくと安心です。
- 船・宿は早めに予約する(繁忙期はすぐ埋まる)
- 欠航に備えて日程に余裕を。帰りが延びる可能性も想定
- 島ではレンタルバイク・自転車・バスが移動の中心。現金も用意
- 酔いやすい人は酔い止めを。船中泊はマットやピローがあると快適
よくある質問
夜行フェリーはどのくらい時間がかかりますか?
竹芝から伊豆大島まで夜行の大型客船で約6時間、いちばん遠い島でも10時間ほどです。夜に出て翌朝に着くので、寝ている間に移動が終わる感覚です。速さ優先なら昼行の高速ジェット船(大島まで約1時間45分)もあります。
2等和室でも眠れますか?
眠れますが、床に直接寝る雑魚寝スタイルなので、キャンプ用マットやネックピローを持ち込むと快適さが段違いです。個室でしっかり寝たいなら、特2等や1等以上を選ぶと安心です。
日帰りで行ける島はありますか?
あります。伊豆大島は高速ジェット船で日帰りが可能です。伊豆諸島以外なら、横須賀からフェリー10分の猿島や、熱海から高速船30分の初島が、関東から気軽に日帰りできる島です。
予約は必要ですか?
船も宿も予約をおすすめします。とくに夏休みや連休は早く埋まります。船は東海汽船の公式サイトから予約でき、日程が決まったら宿とセットで早めに押さえるのが安心です。
船酔いが心配です。対策はありますか?
外海は多少揺れるので、酔いやすい人は乗船前に酔い止めを飲んでおきましょう。揺れの少ない船体中央・下の階を選び、早めに横になるのも効果的です。揺れがほとんどない高速ジェット船を選ぶ手もあります。
まとめ
関東から夜行フェリーで行く島旅は、移動そのものが旅になる、少しぜいたくな体験です。竹芝を夜に出て、朝、デッキで迎える島影は、きっと忘れられない景色になります。
まずは手軽な伊豆大島や日帰りの猿島から。慣れてきたら、式根島や神津島、御蔵島へと足を延ばしてみてください。東京から数時間で、こんなに違う世界が待っています。


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