雨の日の快適さと安全は、レインウェアで大きく変わります。でも売り場に行くと、防水透湿、耐水圧20,000mm、透湿度25,000g……と数字が並んでいて、5,000円のものと2万円のもので何が違うのか、よくわかりませんよね。
この記事では、メーカーの公式情報をもとに、用途別にどんなレインウェアを選べばいいか、数字の正しい読み方、価格帯ごとの違い、サイズの選び方、長持ちさせる洗い方まで整理しました。読み終わるころには、自分に合う1着の条件が決まるはずです。
先に結論:登山やキャンプ、釣りなど雨の中で動くなら、上下セパレートの防水透湿タイプを選びましょう。耐水圧は20,000mm以上が目安。価格の差は蒸れにくさ・重さ・丈夫さに出ます。通勤やフェスで短時間使うだけなら、ポンチョや軽いレインコートで足ります。
まず結論|用途別の選び方早見表
どんな使い方をするかで、必要なものはかなり変わります。まずは自分の用途を見つけてください。
| 用途 | おすすめの形・性能 | 特に見たいポイント |
|---|---|---|
| 登山(日帰り〜山小屋泊) | 上下セパレート・防水透湿・耐水圧20,000mm以上 | 透湿性、フードの調整、軽さと収納サイズ |
| キャンプ | 上下セパレート・防水透湿 | 設営や撤収で動くので蒸れにくさ。焚き火のそばでは火の粉に注意 |
| 釣り | 上下セパレート・防水透湿 | 袖口や裾から水が入りにくいか、フードで視界が狭くならないか |
| 自転車通勤 | 上下セパレートか、自転車用のコート | 前かがみでも背中が出ない丈、視認性(反射材) |
| バイク | 上下セパレート・防水 | 走行風であおられないフィット感、反射材、裾のバタつき |
| フェス・通勤・散歩 | ポンチョ、軽いレインコート | 着脱のしやすさ、持ち運びやすさ |
※表の内容は、メーカーの製品仕様や登山団体・自治体の情報をもとにした選び方の目安です。
「防水」と「透湿」|ビニールカッパが蒸れる理由
レインウェア選びの土台になるのが、この2つの性能です。
- 防水:外からの雨を通さない
- 透湿:体から出る汗の蒸気を外へ逃がす
安いビニールのカッパは、防水はできても透湿性がありません。歩いたり作業したりすると汗の蒸気が中にこもり、結局内側がびしょびしょになります。防水と透湿の両方を備えた「防水透湿素材」のレインウェアなら、雨を防ぎながら蒸れも外に逃がせます。
登山で雨具が欠かせないのは、濡れが体温を奪うからです。長野県の登山の装備チェックリストでも、レインウェアは登山に必要な装備に入っています(長野県の登山装備チェックリスト)。
耐水圧と透湿度|数字の正しい読み方
耐水圧(mm)=どれだけの水圧に耐えられるか
耐水圧は、生地の表に水圧をかけていき、裏側に水がしみ出したときの水圧で表します。数字が大きいほど、強い雨や、ザックの肩ベルトで押しつけられる部分からも水が入りにくくなります。
目安としてわかりやすいのが、登山用品メーカーの基準です。モンベルは、レインウェアに求められる耐水圧として20,000mm以上をクリアした素材だけを使っていると公表しています。
登山やキャンプなど、雨の中で長く動くなら、この20,000mmをひとつの基準にすると選びやすいです。
よく見る「雨の強さ別の耐水圧の目安」に注意:ネットで見かける「小雨なら○○mm」という表は、メーカーや公的機関の換算ではありません。気象庁の雨の強さ(1時間の雨量mm)と、生地の耐水圧(水圧のmm)は、同じ「mm」でも別のものです。
透湿度(g/m²・24h)=どれだけ蒸れを逃がせるか
透湿度は、1平方メートルの生地が24時間で外に逃がせる水蒸気の量です。数字が大きいほど蒸れにくくなります。
ただし、透湿度には注意点があります。JIS(日本産業規格)には測り方が何種類もあり、測り方が違うと数字を単純に比べられません。
たとえばモンベルは「JIS L-1099 B-1法・参考値」と測り方を書いていますが、測り方が書かれていない製品もあります。透湿度は、同じメーカーの製品どうしで比べるときの目安くらいに考えるのが安全です。
ゴアテックスは数字を公表していない
防水透湿素材の代表のゴアテックスは、公式サイトで耐水圧や透湿度の数字を出していません。
代わりに「GUARANTEED TO KEEP YOU DRY」という製品保証で、防水・防風・透湿の性能を約束しています(ゴアテックス公式)。数字だけで「どちらが上」と比べられない素材もある、ということは知っておきましょう。
価格帯で何が変わる?5,000円台と2万円台の違い
実際の製品で比べてみると、違いがわかりやすくなります(価格・仕様は2026年10月時点の各社公式サイトより)。
| 製品 | 耐水圧・透湿度 | 重さ・価格 |
|---|---|---|
| ワークマン イナレム ストレッチレインスーツ(上下) | 20,000mm・25,000g/m²・24h | 上下セット 5,500円 |
| モンベル レインハイカー パンツ | 20,000mm以上・10,000(B-1法) | 平均180g・7,800円 |
| モンベル ストームクルーザー ジャケット | 20,000mm以上・40,000(B-1法) | 平均254g・22,000円 |
出典:ワークマン公式、モンベル公式(レインハイカー パンツ、ストームクルーザー ジャケット)
こうして見ると、5,000円台でも耐水圧20,000mmのものはあります。値段の差が出るのは、蒸れにくさ、軽さと収納のコンパクトさ、生地の丈夫さ、フードや止水ファスナーなど細かい作りです。
たとえばストームクルーザーは生地を3層に重ねた構造で、フードの調整や水が入りにくいファスナーなど、登山向けの機能がそろっています。
年に数回のキャンプや釣り、通勤用なら手ごろなもので十分なことも多いです。一方、山で長い時間雨の中を歩くなら、蒸れにくさと軽さにお金をかける価値があります。
形で選ぶ|セパレート・ポンチョ・レインコート
| タイプ | 長所 | 短所 |
|---|---|---|
| セパレート(上下) | 動きやすく、雨が入りにくい。上だけでも使える | 着るのに少し手間がかかる |
| ポンチョ | かぶるだけで楽。風が通って蒸れにくい。荷物ごと覆える | 風に弱く、足元が濡れる。登山やバイクには不向き |
| レインコート(前開き) | 普段着の上からさっと着られる | 足元が濡れる。激しく動くと裾が邪魔 |
しっかり動くアウトドアなら、基本は上下セパレートです。ポンチョはフェスや散歩、急な雨の予備として持っておくと便利です。
用途別のポイント
登山
耐水圧20,000mm以上の防水透湿タイプを上下で。登りで汗をかくので、透湿性が高いほど快適です。フードは頭の動きについてくる調整機能があると、横を向いたときに視界がふさがりません。
ザックを背負ったまま着られるか、袖の長さが足りるかも確認しましょう。装備全体は登山の装備と選び方で解説しています。
キャンプ
雨の中での設営・撤収は意外と動くので、蒸れにくい防水透湿タイプが快適です。化学繊維のレインウェアは熱に弱いので、焚き火のそばでは火の粉に気をつけましょう。雨の日の判断や過ごし方は雨キャンプの過ごし方にまとめています。
釣り
堤防では、しゃがんだり手を水に近づけたりするので、袖口や裾から水が入りにくいものが向いています。波しぶきを浴びる場所では、フードで視界がせまくならないかも大事です。堤防釣りの安全ガイドもあわせてどうぞ。
自転車・バイク
自転車は前かがみの姿勢になるので、背中や腰が出ない丈の長さが大事です。暗い時間に走るなら、反射材が付いているものを選びましょう。バイクは走行中の風で生地がバタつくので、体に合ったサイズのセパレートタイプが向いています。
サイズの選び方
レインウェアは、服の上に着るものです。実際に中に着る服を着た状態でサイズを選びましょう。秋冬はフリースやダウンを着込むことも考えておきます。
- 腕を上げても、すそや背中がずり上がらないか
- ひじを曲げても、袖口から手首が出ないか
- しゃがんだり足を上げたりしても、パンツが突っ張らないか
- ザックを背負った状態で、肩や脇がきつくないか
モンベルの一部の製品のように、同じサイズで身幅がゆったりしたもの、丈が短い・長いものを選べるブランドもあります。体型に合わせて選べるか、確認してみてください。
買う前にチェックしたい機能
- フード:調整できるか、つばがあって顔に雨がかかりにくいか
- ファスナー:水が入りにくいファスナーやフラップ(雨よけの布)があるか
- ベンチレーション:脇の下などに、蒸れを逃がすファスナーがあるか
- 袖口・すそ:絞れるか。パンツは靴の上から脱ぎ履きしやすいか
- 重さ・収納サイズ:ザックに入れて持ち歩くなら、軽くて小さくなるものを
- 色・反射材:山や夜道では、目立つ色や反射材が安全につながる
長持ちさせる洗い方と、撥水の戻し方
レインウェアの表面は、水を玉のように弾く「撥水加工」がされています。これが落ちると、生地の表面が水を吸ってしまい、蒸れの逃げ道がふさがれて内側が湿っぽく感じます。モンベルによると、撥水が落ちる原因は汚れの付着と撥水剤そのものの劣化の2つです。
実は「汚れ」が原因のことが多く、洗うだけで撥水が戻ることがあります。ゴアテックス公式のお手入れ方法をもとにした手順は次のとおりです。
- 洗濯表示を確認する(製品ごとの表示が最優先)
- ファスナーやポケット、マジックテープをすべて閉じる
- 液体洗剤を少なめに入れ、40℃以下のぬるま湯で洗う(粉末洗剤・漂白剤・柔軟剤は使わない)
- すすぎは通常の2倍にして、洗剤を残さない。脱水は短く軽く
- 日陰でつり干しして、しっかり乾かす
- 乾いたら熱を加えて撥水を戻す:乾燥機が使える製品なら温風で20分、なければスチームなしの低温アイロンを当て布をしてかける
- それでも水を弾かなければ、市販の撥水剤(スプレーや洗濯時に入れるタイプ)を使う
出典:ゴアテックス公式「アウターウェアのお手入れ」。乾燥機やアイロンが使えない製品もあるので、必ず製品の洗濯表示に従ってください。
使ったあとは、濡れたまま丸めて置いておかず、陰干ししてしっかり乾かしてからしまいましょう。
レインウェアを探す
登山やキャンプで使うなら、防水透湿の上下セットから探すと失敗しにくいです。耐水圧と透湿度、重さを見比べてみてください。
よくある質問(Q&A)
安いビニールのカッパではダメですか?
短い時間、小雨の中をあまり動かずに過ごすならOKです。ただ透湿性がないので、歩いたり作業したりすると汗で内側が濡れてしまいます。登山やキャンプには、防水透湿タイプを選びましょう。
耐水圧はどれくらい必要ですか?
登山やキャンプなど雨の中で長く動くなら、20,000mm以上がひとつの目安です。モンベルもレインウェアには20,000mm以上の素材だけを使っていると公表しています。
ゴアテックスじゃないとダメですか?
ダメではありません。各メーカー独自の防水透湿素材にも、耐水圧20,000mm以上のものはたくさんあります。ゴアテックスは数字を公表しない代わりに製品保証で性能を約束している素材なので、価格・保証・重さを見比べて選びましょう。
洗濯機で洗ってもいいですか?
洗濯表示で洗濯機がOKなら洗えます。液体洗剤を少なめにして、すすぎをしっかり。柔軟剤や漂白剤は使わないよう、ゴアテックスのお手入れ方法でも案内されています。手洗い指定の製品は手洗いで。
水を弾かなくなったら買い替えですか?
まずは洗って、熱を加えてみてください。汚れが原因なら撥水が戻ります。それでもダメなら撥水剤で補充を。縫い目のテープがはがれたり、生地の内側がはがれたりして、実際に水がしみてくるようになったら買い替えを考えるタイミングです。
まとめ
レインウェアは、まず「防水透湿かどうか」。雨の中で動くなら上下セパレートで、耐水圧20,000mm以上をひとつの目安にしましょう。価格の差は、蒸れにくさ・軽さ・丈夫さ・細かい作りに出ます。
サイズは中に着る服を着て選び、使ったら乾かして、撥水が落ちたら洗って熱を加える。これで1着を長く使えます。
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