秋まではあんなに釣れたのに、冬になったらアタリすらない。冬の釣りでは、こんな経験をする人が多いと思います。「冬は魚が釣れない」とよく言われますが、魚がいなくなったわけではありません。
この記事では、冬に魚が釣れにくくなる理由を、水温と魚の体のしくみから説明します。そのうえで、冬でも狙いやすい魚と、釣果を上げるための工夫、冬ならではの安全の注意までまとめました。
先に結論:冬に釣れにくいのは、水温が下がって魚の動きと食欲が落ちるから。海の水温は気温より遅れて下がるので、いちばん冷えるのは2〜3月ごろです。冬は、岩のすき間にいるカサゴなどの根魚や、管理釣り場のニジマス、ワカサギのように冬でも狙える魚を選ぶのが近道です。
冬に魚が釣れにくくなる3つの理由
1. 魚は水温で体の働きが変わる
魚は、まわりの水温によって体温が変わる変温動物です。水産研究・教育機構の資料でも、魚の体の働きは「環境水温の影響を大きく受ける」と説明されています。
水温が高いと代謝が活発になり、よく食べてよく育ちます。三重県水産研究所がマダイで調べたデータでも、水温が高いほど1日に食べる量と成長が大きくなっていました。裏返すと、水が冷たい冬は、魚があまり動かず、エサもあまり食べなくなります。
2. 海の水温は2〜3月がいちばん低い
意外かもしれませんが、海の水温がいちばん下がるのは、寒さの厳しい1月ではなく、2〜3月ごろです。兵庫県の水産技術センターは「日本の周辺海域では、表層の水温は気温の変化に約1か月遅れて変化する」と説明しています。
空気より水のほうが温まりにくく冷めにくいためで、夏の水温のピークも8〜9月と、気温より遅れてやってきます。関東近くの海でも、気象庁の平年値では、相模湾の水温がいちばん低いのは2月20日ごろです。
| 場所 | 冬の水温の目安 | 出典 |
|---|---|---|
| 相模湾(海域の平均) | 2月で約15℃ | 気象庁の平年値 |
| 千葉県南部の沿岸(海域の平均) | 2月で約16℃ | 気象庁の平年値 |
| 東京湾の奥(検見川沖など) | 2月で9℃前後 | 国土交通省の観測(2025年) |
同じ関東でも、黒潮の影響を受ける外洋に面した海と、東京湾の奥ではかなり差があります。岸に近い浅い場所ほど冷えやすいと考えておきましょう。
3. 魚の居場所が変わる
冬になると、水温の安定した深い場所へ移る魚もいます。環境省の資料でも、マダイやヒラメ、カレイ類などの魚は「産卵・越冬・摂餌のために」深さを変えて移動するとされています。
秋に堤防の足元で釣れていた魚が、冬には沖の深い場所に移っている。これも「冬は釣れない」と感じる大きな理由です。
冬でも狙いやすい魚
冬に釣果を出すいちばんの近道は、冬でも岸の近くにいる魚や、冬がシーズンの魚を狙うことです。代表的な魚をまとめました。
| 魚 | 冬に狙いやすい理由 | 主な釣り方 |
|---|---|---|
| カサゴ(根魚) | 岩のすき間などにすみ、冬も同じ場所にいることが多い | 穴釣り・ブラクリ |
| メバル | 低い水温を好む魚で、冬〜春がよく狙われる | 夜のウキ釣り・ルアー |
| アイナメ | 秋〜冬が産卵期で、関東の陸っぱりでは冬が主なシーズン | 投げ釣り・穴釣り |
| カレイ | 冬に産卵のため岸に寄る。産卵前の晩秋〜初冬と、産卵後の春が狙い目 | 投げ釣り |
| ワカサギ | 冷たい水を好む傾向があり、関東では1〜2月が産卵期 | ドーム船・氷上 |
| ニジマス(管理釣り場) | 冷たい水を好む魚。管理釣り場なら放流された魚を手軽に狙える | ルアー・エサ釣り |
カサゴなどの根魚は冬の強い味方
カサゴは、沿岸の岩場の岩陰などにすむ魚です。東京都の島しょ農林水産総合センターによると、10〜11月に交尾し、11月から3月にかけて子どもを産みます。卵ではなく稚魚を産む、ちょっと珍しい魚です。
大きく移動しないので、冬でも岩のすき間や消波ブロックの穴を探れば釣れることがあります。同センターは「冬季は身に脂がのるので特に美味」とも紹介しています。仕掛けを穴に落とすだけの穴釣りは、冬の初心者にいちばんおすすめの釣り方です。
カレイは「時期」がポイント
マコガレイは冬に産卵のため岸近くに集まる魚で、東京都のセンターは「主として冬場に遊漁船により釣獲されている」としています。
ただし、産卵に入ると食いが落ちると言われています。シマノの初心者向けの解説でも、カレイのよい季節は春と秋とされていて、産卵前の晩秋〜初冬と、産卵後の春が狙い目です。
ワカサギと管理釣り場は冬の定番
冬でも確実に釣りを楽しみたいなら、ワカサギ釣りや管理釣り場が向いています。ワカサギはドーム船なら暖房のきいた船の中で釣れるので、寒さの心配もほとんどありません。
ドーム船の料金や当日の流れはワカサギ釣りのドーム船は手ぶらでOK?にまとめています。関東の湖ごとの解禁日や料金はワカサギ釣り 関東の釣り場まとめへ。
氷の上で釣る氷上釣りは、湖ごとに氷の状態やルールが違うので、必ず現地の案内を確認してください。
冬に釣果を上げるコツ
冬でも、狙い方を少し変えるだけで釣れる確率は上がります。
| コツ | やること |
|---|---|
| 魚のいる場所を探る | 足元の岩のすき間、消波ブロックの穴、少し深い場所を狙う |
| ゆっくり誘う | 魚の動きが鈍いので、仕掛けやルアーはいつもよりゆっくり動かす |
| エサを小さめに | 食欲が落ちているので、小さめのエサのほうが食いつきやすい |
| 日の当たる時間も試す | 日差しで浅い場所の水温が少し上がる時間帯は有利とも言われる |
| 冬の魚を選ぶ | カサゴ・メバル・アイナメ・カレイなど冬に強い魚を狙う |
朝マズメ・夕マズメといった釣れやすい時間帯の考え方や、釣れないときの見直し方は魚が釣れない理由と釣るための見直し方で詳しく書いています。
冬の釣りは安全と防寒が最優先
冬の釣りで一番こわいのは、海に落ちることです。海上保安庁は、水の熱伝導率は空気の約25倍で、体温が35度くらいまで下がると低体温症になると説明しています。冬の冷たい海に落ちれば、体は一気に冷えてしまいます。
ライフジャケットは必ず着用を。海上保安庁は「ライフジャケットなしで救助を待つことは非常に困難です。釣りに行く際には必ずライフジャケットを着用しましょう」と呼びかけています。万が一のときは118番(海上保安庁)に通報します。
防寒も大切です。シマノは冬の釣りの服装について、肌が外気に触れる部分をできるだけ減らすことと、冷たいコンクリートの足場に備えて靴や靴下でも防寒することをすすめています。ただし、重ね着しすぎて動きにくくなるのも危ないので注意しましょう。
堤防での安全の基本は堤防釣りの注意・安全ガイド、寒さに備える服の重ね方は冬キャンプの服装|レイヤリングの基本も参考にどうぞ。
よくある質問
冬はまったく釣れないの?
まったく釣れないわけではありません。魚の動きや食欲が落ちるので釣りにくくなりますが、カサゴなどの根魚、メバル、アイナメ、カレイ、ワカサギ、管理釣り場のニジマスなど、冬でも狙える魚はいます。
いちばん釣れにくい時期はいつ?
海の水温は気温より約1か月遅れて下がるので、水温がいちばん低くなる2〜3月ごろが、多くの魚にとって厳しい時期です。
冬の初心者におすすめの釣りは?
足元の岩のすき間に仕掛けを落とすカサゴの穴釣りや、暖房のきいたドーム船でのワカサギ釣り、管理釣り場のニジマス釣りが始めやすいです。
冬の釣りで必要な装備は?
ライフジャケット、防寒着、手袋、滑りにくい靴は必須です。長時間じっとしていることが多いので、カイロや温かい飲み物もあると安心です。
まとめ
冬に魚が釣れにくいのは、水温が下がって魚の動きと食欲が落ち、居場所も深い場所へ変わるからです。海の水温は気温より遅れて下がり、2〜3月ごろにいちばん冷えます。
それでも、冬に強い魚を選び、魚のいる場所をゆっくり探れば、冬ならではの一匹に出会えます。ライフジャケットと防寒だけは忘れずに、冬の釣りを楽しんでください。
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